こんにちはOKAです!
さて当ブログ一発目の記事は「Axie Infinityのエコシステムはなぜ破綻寸前まで陥ったのか」について。
私はアクシーのマネージャーとして2021年9月に参入し、2022年2月に撤退をしました。
実際にアクシーの中で何が起こっていたのか、その記録として書き残しておきます。
初めに、破綻寸前まで行った原因ですが「SLPのMint:Burn比率を適切にコントロールすることができなかったから」になります。
アクシーのエコシステムについて説明した後、どのようにして破綻寸前までの道筋をたどったのか、時系列で順を追って見ていこうと思います
BCG初心者だけでなく、多くのBCGプレイヤーの参考になれば幸いです。
Contents
アクシーのエコシステム概要
AXSとSLP
はじめにエコシステムの概要を見ていきます。アクシーにはAXSとSLPという2つのトークンがあります。
- AXS:ガバナンストークン。発行枚数は270,000,000枚。アリーナ上位者などに配られる。
- SLP:ゲームリワードトークン。発行枚数は無限。通常のゲームプレイで取得できる。
実際のエコシステムにはAXSとSLPの2つが絡んできますが、今回の破綻ではSLPが主な要因になってきますので、これからの話はSLPに絞って解説していきます。
SLPの循環
SLPだけに注目すれば、アクシーのエコシステムは非常に単純です。
- SLPのMint:アクシーを購入し、ゲームプレイによってプレイヤーが取得することでMintされる。
- SLPのBurn:アクシーを生むためのブリードによりBurnされる。
基本的にはこれだけです。
この循環が回るためには、プレイヤー側がアクシーを購入し続ける必要があります。つまり
- 既存プレイヤーによるアクシーの買い替え
- 新規プレイヤーの流入
これをし続けることでこの循環が回るのです。
裏を返せばこれが止まればこの循環は止まります。
以上がSLPを中心としたアクシーのエコシステムです。これらを踏まえたうえで、どのようにエコシステムが破綻寸前までいったのか見ていきましょう。
破綻寸前までの時系列
アクシー黎明期
それでは実際の時系列に沿って、重要な指標であるSLP価格、SLPのMint/Burn ratio、アクティブユーザー数を見ていきます。
<2020月11月頃>
この時期からアクシー人気に火がつき始め、ユーザー数が増え始めています。
要因はもちろんスカラーシップ(※1)によるものです。
この仕組みによってフィリピンをはじめとした新興国を中心に爆発的に人気となりました。
この時点のMint/BurnとSLP価格を見てみます。
BCGのエコシステムにおいてこのMInt/Burn ratioは重要な指標の一つです。
Mint:Burnは1:1が適切な状態であり、どちらかが大きく偏るとそのトークンのインフレ(またはデフレ)につながります。
2020年11月時点のMInt/Burn ratioを見ると、実はこの時点でMint:Burn = 5:1 と大きくMintに偏っています。
にも関わらずSLP価格は2〜4円と維持されています。
この要因ですが、今後の期待からSLPを売らずに大量に持ったままの投資家が多かったのではと推測しています。今後はこれが「売り圧」になっていきます。
またこのスカラーシップはアクシーを世界一のBCGに押し上げた起爆剤でしたが、同時に諸刃の剣でした。
なぜならばスカラーのプレイヤーは獲得した報酬はゲーム内で利用することなく、基本的に換金をして自分の生活費として利用していきます。そのため大量のスカラーは大量の売り圧を生むことになります。これが今後のSLP価格の下落にもつながっていきます。
※1 スカラーシップとは
マネージャー(投資家)がアクシーを購入し、レンタルをすることでスカラー(プレイヤー)にゲームプレイをしてもらう制度。マネージャーはスカラーがゲームプレイで得た報酬から一定比率のマージンを受け取る。
人気爆発
<2021年4〜7月頃>
アクシーの人気が爆発して最盛期と呼ばれる時期です。
ユーザー数が大幅に増えてSLP価格もATH(最高値:48.9円)を記録しています。
仮にSLP=48.9円だとデイリークリア (当時150SLP)だけで7335円になります!バグってますね笑
この頃のMint/Burn ratioを見るとほぼ1:1を維持しており、健全な状態といえます。
この時期のユーザー数がアクシーのエコシステム的にはちょうどいい数だったのでは?ともいえます。
しかしこの時期をピークにSLP価格は下落に転じます。初期組や投資家の資金が抜け始めたのかもしれません。その中でもユーザー数はまだまだ増え続けます。
停滞期
<2022年8月〜11月頃>
この時期はSLP価格はやや下落基調ではあるものの、ある程度安定していた時期です。
ユーザーは引き続き増え続け、Mint/Burn ratioはMint:Burn = 2:1から3:1あたりと、Mintに偏った状態が続きます。
この時期に運営のSkyMavisもテコ入れを実施し、SLPのデイリー獲得報酬を半減としました。しかしMint量があまり減ることはなく、それ以上にどんどんスカラーが増えていったという状況です。
大きな潮目の変化
<2022年11月〜>
さてここで大きく流れが変わります。運営による改悪ラッシュが始まりました。
最初のきっかけはシーズン19のナーフです。当時人気だったアクアというタイプのアクシーが大きくナーフされました。多くのスカラーが使用していたアクシーでしたので、マネージャーは買い替えか撤退を余儀なくされました。
さらに改悪は続きます。
- MMR800以下足切り
- シーズン中の予告なしナーフ
1個1個説明すると長くなるので割愛しますが、いくつかの改悪によりアクシーのマネージャー、スカラー、プレイヤー、ブリーダー全てが打撃を受けました。一気に投資家心理が冷え込んでいたように感じます。正直この時期の改悪連発は運営のハンドリングミスと言わざるを得ません。
この時期のユーザー数推移を見てみると、それでもまだまだ増え続けています。
ただ実際に中にいた体感としては、日本人のプレイヤーやブリーダーは激減しマネージャーは減り始めていたように思います。
特にブリーダーの減少はエコシステムにおいて致命的です。SLPのBurn先がなくなることを意味するので、SLPのインフレを加速させます。
実際にお金を出すプレイヤーやマネージャー、そしてBurnするブリーダーが減れば、エコシステムの循環が回らなくなります。スカラーだけではSLPの売り圧しかうまないのです。
まだ12月中ぐらいにSLP価格維持の手を打てていればよかったのですが、運営からは特に何のアクションもありませんでした。
アクシーの現状
運営からアクションがないままSLP価格は下落を続け、2022年2月についに「PvE報酬、デイリー報酬のカット」という強硬手段に出ます。Burnを増やす手段がないため、大きくMintを減らす方向に舵を切りました。プレイヤーからすればプレイしても雀の涙程度の給料しかもらえないことを意味します。
以上がエコシステム破綻寸前までの経緯と考察になります。
アクシーの将来性
最後に、破綻寸前まで陥ったアクシーですが今後の将来性について検討してみましょう。
今後のアップデート
- アリーナオリジンの実装(PvEの大幅アップデート)
- ランドの実装
大きくこの2つが予定されています。運営はこれにより「SLPのBurn先を増やす」と述べており、Mint/Burn ratioの健全化を目指しているようです。
直近のSLP価格とBurn/Mint ratio
直近では報酬大幅カットとアップデートへの期待から短期的には上昇しています。
しかしMint/Burn ratioは5:1〜10:1と大きく偏った状態ですので、これが本当に改善して長期的に復活していけるのかはまだまだこれからになります。
運営の開発費
SkyMavisは「仮に売り上げが0になっても数年は開発ができる資金がある」と発言しており、すぐに運営が破綻、逃亡するようなことはなさそうです。
以上から、アクシーが完全に死んだとは思っておらず、復活の可能性は残されていると思っています。
結論
アクシーのエコシステムが破綻寸前まで陥ったのはSLPのMint/Burn ratioを適切にコントロールできなかったことが原因でした。
王者アクシーが短期間でここまで落ちてしまったのを見ると、BCGにおいていかにエコシステムの維持が難しいのかがわかります。
ですがまだアクシーが完全に死んだとは思っていませんので、私も今後のアクシーの情報はウォッチしながら、期待して復活を待ちたいと思います!
長くなりましたがここまでお読みいただきありがとうございました!
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